SAQトレーニング
SAQトレーニングとは?
SAQトレーニングという名称は、スピード、アジリティ、クイックネスの頭文字に由来します。
Speed(スピード):重心移動の速さ
Agility(アジリティ):運動時に身体をコントロールする能力
Quickness(クイックネス):刺激に反応して速く動き出す能力
目的
本来ゼネラルスキルは遊び等を介して幼少期に強化されますが、生活様式の変化と共に、それも期待できなくなってきているのが現状です。現代社会のように生活環境が整い過ぎると、逆に弊害も多くなります。幼少期にゼネラルスキルを強化する機会を少なくしてしまうことはその一つの例でしょう。舗装道路に慣れ、車や電車に乗り、遊び場を失い、自由に野山を走ったり、川遊びをする子供は年々少なくなってきています。本当なら、少年の頃の遊びの中で自然に芽生えるはずの俊敏さ(すばしっこさ)、バランス能力、柔軟性などが、今は十分備わっている人は少なくなって来ています。そこでその代わりの働きをするのが、SAQトレーニングなのです。SAQは自然な遊びの中で高められていたゼネラルスキルを、より効率良く効果的に伸ばし、人間が本来持っている能力を最大限に引き出すトレーニングメソッドです。
※ゼネラルスキル : 競技の専門的スキルの基礎となる物。
SAQトレーニングの歴史
SAQトレーニングは、1980年代後半アメリカのフットボールやバスケットボールのために開発されたもので、ダラス・カウボーイズ(NFL)やヒューストンロケッツ(NBA)などのトッププロにも採用されたトレーニングメソッドです。1990年代前半にアメリカから創始者のランディ・スマイス氏とともに外園隆が日本に紹介、瞬く間に日本のスポーツ界に幅広く普及し、特にラダーやハードルを利用したトレーニングは複数のメディアで紹介されました。現在は、当協会とアメリカ在住のアドバイザーが連携し、より良いトレーニングシステムを構築すべく密接にコミュニケーションを取り合っています。
SAQを向上させるための体力的条件
ダイナミックフレキシビリティ(動的柔軟性)
関節の曲げ伸ばしや回旋などを行って、筋や腱をストレッチする方法。スポーツの様々な動作に合わせて行なうことができ、機能的に動的柔軟性を改善することが可能。
プライオメトリクス(爆発的パワー)
ストレッチ・ショートニング・サイクルを利用したトレーニング方法で一般的には下肢はジャンプ系の
エクササイズ、上肢はメディシンボール投げが知られている。爆発的パワーを改善することが可能。
体幹トレーニング
体幹とは身体の部位の中で胴体を指す。体幹は姿勢を保ち、力を発揮・伝達する部位である。質の高いスピード・アジリティー・クイックネスの能力を発揮するために体幹を機能的かつ良好なコンディションに保つことは必須の要素である。
発育発達とSAQトレーニング
SAQトレーニングはジュニアからトップアスリートまで幅広い年代に適応のあるトレーニング方法である。発育発達に関する基礎知識を理解する必要がある。
プレ・ゴールデンエイジ
神経系の発達が著しい5歳から8歳頃をいい、脳をはじめとした神経回路の発達が急ピッチで進む大切な時期です。運動能力の基礎は、この年代に形成されます。この時期の子どもは、長続きはしないものの高い集中力をもっているという特徴があります。この時期に多種多様な動きを体験させ、体を 動かす楽しみを知ることが、その後の動作の習得や専門的な技術の上達へとつながっていきます。
ゴールデンエイジ
9歳から12歳頃をいいます。神経系の発達がほぼ完成し、動きの巧みさを身につけるのに最も適している時期です。また、一生に一度だけ訪れる、あらゆる動作を短時間で覚えることのできる「即座の習得」を備えた時期として重要視されています。また、この時期は、精神面でも自我の芽生えとともに競争心が旺盛になってくる時期なので、高度なテクニックを身につける子どもも多く見られます。一度習得した技術は大人になってからもずっと身についているので、この時期に多くの技術を学ばせることが、将来大きく伸びるためのポイントともいえます。
スピードとは
重心移動の速さ、つまり移動スピードのことを指します。スピードは、「ピッチ」と「ストライド」の2 つの要素で決定されます。ピッチとは「足の回転数」、ストライドとは「重心移動の距離」のことです。スピードを高めるためには、ピッチを落とすことなくストライドを伸ばす、ストライドを落とすことなくピッチを速めるトレーニングがポイントです。そのためには、姿勢や腕振り、脚の動作などの基本動作を身につけることが大切です。
アジリティーとは
アジリティは運動時に身体をコントロールする能力のことを指します。敏捷性とも呼ばれ、方向転換をして進む方向を変えたり、ターンをして身体の向きを変えるときに必要な能力です。素早い方向転換やター ンを行うためには、テクニックだけではなく、バランス能力や筋パワー、コーディネーション能力も必要です。はじめは、バランストレーニ ングやコーディネーショントレーニングなど、姿勢を保持したり身体をイメージ通りに動かすトレーニングから行い、ラダートレーニングやマーカーコーンを使った方向転換のトレーニング、そして鬼ごっこやミラードリルなどのランダムな動きをするトレーニングへと進めていきます。
クイックネスとは
クイックネスは、刺激に反応し速く動く能力のことを指します。刺激とは目や耳などの感覚器から入ってくる情報のことで、音による合図や目から得た情報を、素早く判断し反応する能力がクイックネスにあたります。クイックネスは、刺激を認識し動き出すまでのリアクションタイムと動き出しの速さのムーブメントタイムから構成され、前方だけではなく横や後ろなど様々な方向へ素早く動き出すトレーニングが必要です。 刺激を正しく認識すること、動き出しの動作をいかに効率よく・素早く行うことができるかがポイントになります。
SAQトレーニングまとめ
ジュニア期に大きく成長する神経と筋肉のつながりを刺戟する事によって、将来色々なスポーツを行なうときに苦労する事なく、すんなり入っていけでしょう。ジュニア期に先輩をよく観察していたら「なんかできそうだ!」と不思議な気持ちになる事があります。それを『即座の習得』新しい動きを何度か見ただけですぐに身につける事ができること。この時期にスポーツに関わる多くの動きが覚えられ、この時期に覚えた動きは一生忘れない。しかし、真剣に取り組み実施することが条件になると思います。やったことのない動きはできなくてあたりまです。諦めないで根気よく楽しくやりましょう!